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箱にはラベルを、物差しには目盛りを

今週はなんだか時間があって、読書がはかどる。
中でも「へうげもの」の新刊が面白かった。

で、ついでに思いつきを。

「へうげもの」9巻で、古田織部が器を前に、崩れてるだの、崩すだの、やってる。
妙に崩れちゃってるところがいいよね、という価値観。

ってところから。

話は飛ぶようで、モノゴトって複雑なんだよね。例えばモノゴトAがこれだとする。

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わかりやすく二次元の単色の線で。
本当はもっと多次元的というか、多面で多層で時間での変化もあるんだけど、表示の都合で略。

で、このモノゴトAは、塊にしようとした作為も見られるけど、線の全部、細部まで意識されたものじゃない。
あえてグチャグチャにした崩しと、手の弾みの崩れがある。
見れば、単体のモノゴトとして捉えられるってのはわかる。誰かがこういう塊、モノゴトを作ったんだなって。
でも、それに反応する側としては、あまりにも不定形のままだと把握できない。
言葉などのほかのイメージに翻訳できない。
モノゴトAについて説明するときに、モノゴトAそのものをいちいち体験させるなんてやってられないわな。
体験させたとして、体験者の内なる反応をどうしたものか。

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こういうモノゴトたちだったら、「だいたい丸だよな」「星とか花みたい」「笑顔に見える三本の曲線」「三角」「矢印、右」とかで済むんだけど、そうもいかない。


だから、受け取る側は、複雑なモノゴトAに対して、わかりやすい箱に収めて把握するんだな。まず。
適当な大きさの、わかりやすい形の箱に、とりあえずモノゴトAを押し込めると、全部じゃないけど入る。
そうすると、モノゴトAは比較的わかりやすいaになる。
その際にこぼれてしまったものもAの部分なんだけど、重要ではないと扱う。

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えーと。子どもにオモチャをプレゼントするときに、「美術史的な観点」の箱は使わない。
「5歳児とその親が喜ぶかどうか」の箱を使う。
翻訳/説明が目的の場合、「野球(とか三国志とか)に例えると」って箱もよくある。
「30代男性向け雑誌に掲載するものとして」って業務用の箱はよく使うな。
aはAそのものじゃないけど、箱のラベルと合わせてAに還元・・・・できたりできなかったり。

「まったくわからない/興味がない」という箱もある。
その場合、aがAよりもシンプルなかたちになっているとは限らないし、オリジナルAへの還元はなお難しい。それ箱じゃないね。

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aになっちゃうと、細部が意図した崩しなのか、自然の崩れなのか、さらにわかりにくくなっているが、ようやくここで、Aと向き合える。
……複雑で不定形なモノゴトAのままでも一目で把握、反応できる能力を持っていれば問題ないんだけどさ。
普通はわかんないじゃん。

aのかたちはすっきりしてるから、「このへんに何か感じる!」「この突起の丸みが好きだ!」「ここ一点だけ推し!」みたいな、具体的な反応がしやすくなる。
または「左上に出っ張っちゃったのがかわいい」「くびれがよろしい」「クネクネしててキモい」みたいな、細部を総合した感想とか。
(「まとまりがいい」とかね。まとめる箱に入れたのは自分だよって)

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ただし、その反応は、箱とピックアップする部分の両方で共感を得られないと、「ソコがいいんだよ!」ってだけの、趣味人の語りになってしまう。


モノゴトを把握し、翻訳するには、ほかの箱と組み合わせてもいい。
違う箱に入れたaとbの重なりやはみ出しにもモノゴトAのかたちが見えてくる。

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この際の違う箱は、基準となる線でもいい。
「斬新/古典的」「直感的/論理的」みたいな軸(物差し)を重ねると、かたちの性格が読めてくるかもしれない。

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かたちの隅っこに中心が来るような軸を使うこともできるけど、反則というか意味がないよな。
マジンガーZ見てるのに「現実的/非現実的」の軸を構えてたら、そりゃ「非現実的すぎるな!」って感想になるわな。それじゃ効果が薄い。

また、全体の隅っこでなく、「ソコがいいんだよ!」の部分に対して軸を当てると、見落としてしまうようなかたちが見つかったりする。


ともあれ、箱に入れて細部をつっつくにせよ、軸を当てて計るにせよ、それはモノゴトA全体ではなく、Aから導かれたかたちだってこと。

古田織部が愛でる器だって、細部だけだったら破片だし、同じカーブが絵で書いてあってもダメで、あの器を古田織部の美意識をもって、この角度から見て、「崩れ」がいいと。そうなる。
「崩れ」があるからいいんじゃない。そこが還元しきれないところ。
(「崩し」で自然の「崩れ」に挑む姿は、本来無理な還元に抗ってるからカッコよく、面白い試みなんだろう)


てなわけで。
逆に「わかりにくくしてどうする」って感じもしたところでチョン。


蛇足なんだが、ドラクエ9って、どんな箱に入れたら、どんなかたちが見出せるんだろう。
そしてそれらはドラクエ9の全体ではないから、「だからよし」「だからダメ」ってのは、入れた箱のラベルと物差しの目盛りと一緒に知りたいよね。

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