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見えているものが世界で、それでいい。「ペコロス」の肯定。

「ペコロスの母に会いに行く」(岡野雄一)

認知症の母のもとへ日参する62歳の漫画家による訪問記。
「ペコロスの母」というのが母を指してるかと思ったけど、ペコロスとは作者の愛称。
タイトルは「ペコロスが描く『母に会いに行く』」ということか。

あいまいな知覚の中で何十年分の時間が溶け合う。
客観的にはつらいものとして捉えている認知症の描写が、なぜか幸せそうだったりする。
もう治らないのだから、本人が幸せなのだから、見えている世界を真実として肯定していい。

まぁいいか、の気持ちよさ。

ここまでくると、世界の中に人生があるんじゃなくて、
人の意識と人の間にあるものを世界としていて、いいんだな。

究極のひとりよがりだから、介護施設の中でやっと成立することなんだけど、
向き合い方として、肯定したい。

しかし、各所に笑っていいのか悪いのか、判断しにくいネタを振ってきてズルい。(面白い)


実写映画化も制作進行中らしいけど、これ、難しいよなぁ。
老いゆくさびしさと、人生の豊かさと、七味の思い出と、リアルなボケ。
泣かせる、笑わせる微妙なトコは、リアル演技だと生々しそう。


以下、ほかに読んだの。

「特攻の島」5巻(佐藤秀峰)
生き残ってしまってガックリする、奇妙な、摩訶不思議な感覚を真ん中に置く。
歴史的には、その感覚を全国的に得るわけだ。

「グラゼニ」7巻(アダチケイジ、森高夕次)
プロ野球選手、ピッチャーとしての転機、成長についての巻。
ピッチャーってひとりで試合を作っちゃうもんだと思ってたけど、
(そういうのを度外視できる才能があれば別か)
ローテーションの中での役割分担もあって、仕事漫画らしい悩みがある。
このまま勝ち星を取りあぐねて後半戦に入り、契約更改でひどい目にあってほしい。

「ジョジョリオン」3巻(荒木飛呂彦)
ソフト&&ウェットの能力をすっかり忘れていた。
事象のタイムカプセル化、タイム&プレースシフト、だね。
読んでないSBRと世界がつうながっているようで、焦る。

「サラリーマン芸人。」(竜兵会)
トップがイジラレ役になることで組織運営がうまくいくとかの、
サラリーマンにとって参考になるかなーという格言を交えた、タレント本。
成果主義と合わせて考えると、何か見えてくるのか、こないのか。どうなんだ。
周囲の、看板は掲げたくないけど集団を楽しみたい幹部の力によるところが大きいよ。
好かれる技術、ほっとけなく思わせる技術は天性のもんだし。
吉本興業にも感じるけど、事務所のつながりは大事だな。

「鍛える聖地」(加門七海)
到達しにくい霊的、神的、聖性のある場所へ向かう、体当たりノンフィクション。
タイトルほど鍛えるとか修行の要素がない。関東だけだしな…。
パワースポットめぐりのほうが、よほどエクストリームなんではないか。
作者はそのスジの作家でもあるので、うんちくや関連考察なんかを妄想たっぷりに盛り込んでほしかった。
怪談っぽい体験がスッと入ってくるところもいいんだけど、それ、“いわれ”を踏まえたほうがノレるじゃないか。
(大雑把なくくりで申し訳ないが、ベテラン女性作家がエッセイに盛り込みがちなワイキャイ感覚が苦手だ。厚化粧に見えてしまう)

「宗像教授伝奇考」(星野之宣)
愛蔵版でどこまで読んだか、買ったか忘れてたのだけど、ふと読み返した4巻で原発事故を絡めた話があった。
テロ集団に占拠され、暴走を始めた原発に対して「安全と言ってきたんだから止めてみせろ」という宗像教授のハッパと、
「私たちが暴走させなくても地震が来たらいっしょだ」というテロ集団の捨て台詞が。
ラストに「もんじゅ」も出す。
1997年くらいの初出かぁ。



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