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大事なことなので何回も「決着! 恐竜絶滅論争」

「決着! 恐竜絶滅論争」(後藤和久)

K/Pg境界の大量絶滅は小惑星衝突によるものだ、という説を多面的に語る。
まずクレーターがあるから小惑星、巨大隕石の衝突は明らかであり、
それによって生じた環境の変化をシミュレートしつつ、
地層から導かれる生物相の変化にもそれは表れている…など、丁寧に検証。
さらに火山の噴火、漸進的な絶滅など他説へのツッコミを指摘していて、
「小惑星衝突がもっとも説明できる要因」とする。

読む方としては、ナルホドと思うのだけど、一次資料にあたるでもない。
でも、さすがにここまで検証してあれば「わかった」で了解したい。
というか、小学生のころから隕石衝突で気候が大変動して……というように学んだんだけど、
なんか違ったっけか、とも思う。

この本は、半分が自説の解説で、半分は研究発表や世間への意見表明になっている。

一般的にも研究者の間でもすでに「小惑星衝突でOK」となっているのに、
このような「確認」が専門書とはいえ一般書店で買えるように発刊されたのは、
筆者の「まだ説が分かれていると思っている人が多いから」の熱意に基づく。

なぜか。
他説の支持者・研究者が論文を書いて、それをプレスリリースとして流したことがあったそうな。
論文は論文で、査読されてはいるけど引き続き検証の対象になりうる説にしかすぎないのに、
プレスリリースにしてメディアに流れることで、
「通説と異なる説が出た」というニュースになる、と。
そこで世間的に「まだ説が分かれている」と思われる。

でもそれ、検証が浅いんだけど? と思う人、気づく人、調べる人はごく少数。
見出しだけでも十分な影響になる。

ニュースは新しい、悪く言えば変で異で妙なものでなくてはいけない。
「定説がさらに深まった」よりは「異論が出た」ほうがいい。
そういうものといえば、そんなだ。
でもそれによって、検証を重ねた仮説と浅い仮説が並列になるのは困る。
本書は研究現場からの叫びでもあるんだな…。

iPS細胞臨床のあれこれも、根は同じなのかも。


「もっと地雷を踏む勇気」(小田嶋隆)
答えじゃなくて、考え方。
ざっくり言うための思考の流れまで開陳している。
不惑なんてもんじゃない。歳を重ねたからこそ、迷って惑ってからようやく言い切る。
責任を背負い、裁量権を手に仕事する。
そりゃ、惑う。ちゃんと説明するためには横道にも入る。
それがいい大人。


「母は娘の人生を支配する」(斎藤環)
影響を与えるどころか、自己を投影しすぎる母について。
それを不自然に思わない娘だったり、抜けようと思っても女性性がそれを難しくしたり、と。
断言しづらい話題なのはわかるけど、ちょっと読みにくい文体なんだよな…慣れかな。

逆に考えると、母は娘の人生に依存したいのはなんでだろう。
妊娠出産で、一時的に社会から切り離されて、(そんな気がして)
急に個人というか一個の生物としての期間を過ごすからだろうか。
となると産み落とすことも喪失なのかな。
関係が息子の場合は「理想の恋人」として客観視するけど、
娘だと「理想の自分」になって一体化…なんだろうか。

小田嶋隆の「もっと地雷~~」で、
オッサンは社会に属しているけどオバサンは自由な個人だ、
というようなことが書いてあって、自由な分だけ依存先がないのかもしれない。


「ぼおるぺん古事記」(こうの史代)地の巻
天の巻のメモをしてなかった。
作中の漫画がボールペンなのはもちろん、本文をボールペンで書き写して挑んでいるところが変態。
天の巻は世界の創造から人間の世に神々が降りてくるまで。
地の巻はオオクニヌシを主役に国造りを描く。
絵解きの良さで気づくんだけど、アメノワカヒコの葬儀で鳥がたくさん出てくる。
キジが伝令だったりして、このころから天界は鳥を重用しているね。

最後の海の巻は、来年か。アマテラス譲りの超丸顔イワレヒコが旅立つ模様。
顔とか所作がかわいらしくて好きなシリーズ。


「電波の城」(細野不二彦)17巻
実は!って展開が多すぎる気がする。
しかし人が死んでもパッと明るく切り替えるテレビはスゲェよな。
光のメディア。RBGはすべて混ぜると透明になる。情報が一定量を超えるとゼロになる。
印刷物はCMYKだから、過剰な情報は真っ黒になる。闇のメディア。
なんてな。


「嫁姑の拳」(函岬誉)
意外と面白かった。黒バックの見開きが作者も読者もクセになってしまう。
ちゃんと上半身がゴツいとか、血が出るとか、上品に済ませないバイオレンス。
線は少し硬いんだけど、だんだんセクシーに見えてくるから不思議だ。
こういうのもあるのか!
最終巻の「Z」も読みたい。


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